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2007年 10月 16日
同位体シグニチャ(isotopic signature)と呼ばれる、化合物内に存在する特定元素の放射性/安定同位体の比率を調べることによって、検体(ヒトもしくは動物)の食習慣や栄養段階(trophic level)、出自を推察することができる。これを同位体分析(Isotope Analysis)という。
同位体には放射能を発する不安定な放射性同位体と、安定同位体の二種類がある。前者は「放射性崩壊」、つまり時間とともに電子や陽子、中性子を放出しながら次第にその形を変え、異なる原子番号を持つようになる。一方、安定同位体は一定の割合を保ちながら、安定的に存在し続ける。同一化合物内に分布する両者の比率は、それらを含む物質や、その物質がおかれた環境によって異なる。同位体分析ではこの原理を利用する。 考古学でよく使われるのは炭素、窒素、酸素、水素、硫黄など。 炭素同位体は、陸生のタンパク質や植物を、海産のそれと区別するのに役立つ。また、植物は光合成の形態(photosynthetic pathway)によって、C4植物やC3植物といった具合に分類が可能。両者の区別は、¹³C/¹²Cの比率によって行う。たとえばδ-¹³Cが増えれば、それはC4植物、たとえばトウモロコシやキビなどをより多く摂取するようになったことを意味する。 C4植物:カルビン - ベンソン回路の他にCO2濃縮のためのC4経路(ハッチ - スラック回路ともいう)を持つ光合成を行う。C4経路にはさらに 三種類(NADP-ME型、NAD-ME型、PEP-CK型)ある。それぞれの 代表的なものとしては、トウモロコシ、キビ、ギニアグラスなどが 挙げられる。 C3植物:カルビン - ベンソン回路のみを有する。我々が眼にするほとんどの草、 塊茎はC3植物に含まれる。 窒素同位体は、植物と動物性タンパク質を区別するのに役立つ。これによって、検体が食物連鎖のどのレベルに位置するかを明らかにできる。とえばδ-15Nが増えれば、それは動物性タンパク質が増えたことを意味する。 酸素および水素同位体の同位体比率は、降水によって地域的に異なるため、その違いをもとに、検体が居住していた地域の気温や標高をある程度推測することができる。 硫黄同位体の同位体比率は、陸生食物と海産食物とで正確に違いが表れる。したがって、食物中のその含有率の違いは異なる環境状態を示すことになり、酸素・水素同位体と同じく、検体が居住していた環境の推測に役立つ。 試料としては、主に骨の膠原や歯のエナメル質などが使用されるが、何を使用するかによって、検体の生活史におけるどの段階を調査対象とするのかが選択可能となる。たとえば骨は一生を通じて絶え間なく作り変えられるため、その検体の平均的な食事歴を知るのに役立つ。一方、エナメル質は小児期の栄養状態を示すため、小児期以降の食習慣を調査するのには向かない。また、死の直前の食習慣を調査するには、毛髪を使用するのが好ましく、皮膚近くをサンプリングすればよい。毛髪は個体差もあるが、平均的には一ヶ月で1cm程度伸び、ひとたび形成されると、それ以降は変化しないためである。
by gocito
| 2007-10-16 05:34
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